前回に引き続き、長崎遠征から。
グラバー邸の途中にある、教会。
大浦天主堂。
いわずとしれた国宝でございます。
外壁はしっくい仕上げのこの建物。
グラバー邸の近くにあるなんて、全く知らなかったのでまたもや感動。
ただの歴史的な建物というだけでなく、この大浦天主堂のおかげで私のいまがあるからです。
まだ、しっくいに対する見識がそんなに深くなかった10年ほど前。
外壁にしっくいを使うとどうしても汚れが付着してしまう問題に頭を悩ませていました。
何を使って、この汚れを除去し綺麗さを保つのか、そのことばかり考えていました。
もともと、文化財を専攻したのですが、ふと大学の授業で訪れた姫路城を思い出しました。
白鷺城と言われるほど、しっくい仕上げで白く美しかった姫路城。
しっくい仕上げとはいえ、やはり時と共に汚れがひどくなり、修復作業に入ることになりました。
修復を終えた姫路城はそれはそれは美しくなりました。
国宝である姫路城が、厳しい修復基準を超えてこんなに綺麗になった方法を探してみることに。
そこで同じく国宝であった大浦天主堂の外壁しっくいの修復に関する論文に辿り着いたのです。
汚れの種類や、その特性。修復の段階と過程と結果。
また除去の方法が事細かく書かれていました。
いままで自分が分からなかった事が、全てこの論文に収められていて、何度も何度も読みました。
あのとき、あの論文をみつけていなかったら、私はしっくいを使う家づくりは勧めていなかったかもしれません。
しっくいは古来からある素晴らしい住宅素材です。
外壁に使っても、上手に付き合う事でいつまでも美しく時の経過を楽しむ事ができる素材です。
鹿児島の建築に携わる女子で誰もよりしっくいのオタクであると胸を張って言えます。
ありがとう大浦天主堂!
しっくいで困っている!そんな方はいつでもお尋ねくださいね。
Written by yakumo